不動産投資で知っておくべき指標:不動産投資を徹底解説

不動産投資における代表的な指標といえば「利回り」ですが、他にもキャッシュフローなど重要な指標がたくさんあります。いずれも収益物件の実力や投資の成否を評価するためのものです。

今回は不動産投資を成功させるために知っておくべき指標について紹介していきます。

キャッシュフロー(収益性)とは

ビジネスでいうキャッシュフローとは「現金の流れ」を意味します。

ビジネスによって実際に得られた収入(現金相当)に対して、外部への現金支出を差し引いて手元に残る資金の流れを指し、企業経営ではキャッシュフローが回るかどうかは死活問題のため大変重視されています。

不動産投資におけるキャッシュフローは企業経営とは意味合いが少し異なり、単純に家賃収入と経費などの支出の差を意味することが多いです。

キャッシュフロー =  収入(家賃)― 支出(経費+返済)

不動産投資における収益性を図るうえでキャッシュフローを知ることはとても重要です。

物件価格と利回りしか載っていない物件概要書を見ただけでは手元にどのくらいの資金が残るのかの収益性がわからないので、購入候補の物件同士を比較して優位性を検討することもできません。

また、不動産投資の収入源である家賃は現金で支払われますので、そのため黒字倒産といったリスクはそれほど高くありませんが、オーナーの手取りを意味するキャッシュフローが少ないと突発的な事態に対応できず、資金ショートを起こしてしまう恐れがあり、キャッシュフローの多さが安定運用に繋がります。

よって、物件が生み出す収益性を読み解くためことや安定運用を続けるにはキャッシュフローの計算を自分自身で行えるようになることは大切です。

不動産投資のキャッシュフローを計算する方法を解説します。

(1)GPI(Gross Potential Income :潜在総収入)
満室・滞納なしを前提とした1年間の家賃収入の総額のこと
なお、購入する物件のレントロールと呼ばれる家賃表をもとに家賃収入は簡単にわかります。

(2)EGI(Effective Gross Income:実効総収入)
GPIから空室損、滞納者がいる場合の未回収損を差し引き、さらに自動販売機などの雑収入を足した実際に入ってくる収入。
EGI=GPI-空室損- 未回収損(+その他収入)

(3)NOI(Net Operating Income:営業純利益)
EGIから固定資産税などの税金、不動産管理会社への管理料、共用部分の電気代や水道代などの必要経費を差し引いた金額
NOI=EGI-必要経費(税金、管理費など)

(4)キャッシュフロー
NOIからローン返済額を差し引いた、最終的に手元に残る金額
キャッシュフロー = NOI-ローン返済

ROIとは

不動産投資の指標に、利回りとは別に「ROI」という指標があります。

一見すると難しそうですが、基本を押さえれば簡単に理解でき、投資やビジネスのさまざまなシーンで役立ちます。これを機会にしっかり覚えて、不動産投資に役立てましょう。

ROIとはReturn On Investment (=投資利益率)の省略で、投資した金額に対して年間で何%を回収(利益)がすることができたかの”収益性を示す”指標です。

つまり、銀行からの融資を多く引き出すほど自己資金の割合が小さくなり、ROIは大きくなります。これをレバレッジ効果と言います。

例えば、5,000万円の不動産を、融資額を4,000万円、自己資金1,000万円で購入したとしましょう。

この物件の利回りが10%とすると売買価格5,000万円×10%で年間の家賃収入が500万円、仮に融資額の返済は年間200万円、管理費用などの経費も年間200万円と仮定します。

“ROIが10%ということは”、1年間で投資した自己資金の10%を回収できることになります。つまり“10年で投資した自己資金を回収できるということ”を示します。

このように自己資金を回収するのにどれくらいの期間を要するのかを計算することができるため、ROIは物件購入時の目安のひとつとなります。

では単純にROIは高ければ高いほど良いのでしょうか?

実は、これについてはデメリットも加味して評価する必要があります。確かにROIが高いということは、自己投資した資金の回収にかかる期間が短く、その次の投資に素早く移りやすいということを示すため、基本的によい投資ができるのは事実です。

しかし、自己資金に比例して金融機関から借りている融資金額の割合も大きいため、購入物件によってはキャッシュフローが少なくなってしまうケースも多いです。そのため、金利変動や突発的な支出などのリスクに対して脆弱となるというデメリットもあります。

そのため、ROIが高ければ高いほど良いとは一概には言えません。あくまでも、ひとつの目安として利用することが大切です。

不動産投資を行う上ではROI以外の様々な指標(イールドギャップ、DCRなど)も確認して、バランスの良い物件に投資することが基本であることを押さえておきましょう。
<まとめ>

  • ROIを活用することでレバレッジを活かした投資評価を行うことができる
  • ROIが高いということは、自己投資した資金の回収にかかる期間が短く、良い投資と言えるが、融資金額の割合も大きいため、金利変動や突発的な支出などのリスクに対して脆弱でもある
  • 不動産投資を行う上ではROI以外の様々な指標(イールドギャップ、DCRなど)も確認して、バランスの良い物件に投資することが重要
  • イールドギャップ

    表面利回りが高い物件でも融資の条件が悪く、借入金利が高ければ、ローン返済額の割合が大きくなり、利益が残らないもしくは赤字を担っているという事態になりかねません。

    そこで、融資を受けて不動産投資をする場合、NOIやキャッシュフローとともに重要となる指標が「イールドギャップ」です。

    一般的には、

     イールドギャップ(%)=表面利回り(%)- 借入金利(%)

    と解説されていることが多いですが、

    正確な値を求めるには、経費等を考慮した実質的な利回りで計算することと、借入金利に期間の考え方を考慮することが必要です。よって、

     イールドギャップ(%)= 実質利回り(FCR)(%)- ローン定数K(%)

    が正しいイールドギャップとなります。

    実質利回り(FCR)とは収益物件の実質の利回りであり実際の収益力を表し、ローン定数Kは融資総金額に対し、どの程度の割合で返済しているのかを表します。

    次の計算で求めることができます。

     ○ 実質利回り(FCR)= NOI(営業純利益) ÷ 購入総額(物件価格+諸費用)
    NOI(営業純利益)= 家賃収入-運営経費

     ○ ローン定数K(%)=年間元利返済額÷ 借入総額(残高)

    たとえば、下記の融資条件で比較してみましょう。


    表面利回りと借入金利から求めるイールドギャップでは融資Aの方が良い結果になっていましたが、実質利回りと借入期間を考慮した正しいイールドギャップでは融資Bの方が良い結果となります。

    なお、イールドギャップの値は、フルローンの場合、1.5%〜2.0%以上を確保できるのが望ましいですし、イールドギャップがマイナスとなった場合、この条件だと借り入れで損をしている状態であることを示しています。

    また、融資期間を長く取る際の注意点としては、返済期間が長いので元金債務が減りにくく、出口戦略をどうするのかというシミュレーションが必要となります。

    金融機関からの融資によってレバレッジをかけて行う不動産投資においては、利回りよりもイールドギャップが利益を示す指標といえるのです。

    DCR(債務回収比率 / ローン安全率)

    不動産投資から得られる家賃収入などの純収益を基に、ローンの返済能力を見る指標として、「DCR(Debt Coverage Ratio:債務回収比率)」があります。このDCRとは、「ローン返済額に対してどれだけ稼げているか(ローンに対するキャッシュフローの健全性)」を計る数値です。

    キャッシュフローを使って、その不動産投資物件が果たして健全な経営を可能にするのかどうかを判断する方法も知っておく必要があるのは、せっかく利回りが高い物件を購入したとしても資金ショートを起こしてしまっては意味がないからです。

    DCR =NOI(営業純利益)÷ 年間のローン返済額
       (NOI(営業純利益)= 家賃収入-運営経費)

    この数式から分かるように、「ローン返済額に対してどれだけ稼げているか」を計る数値です。

    計算結果が1未満の場合、収益に占めるローン返済額の割合が高すぎることを意味します。つまり、その不動産投資には余裕がなく、危険な状態であると判断されます。

    なおDCRの値は、一般的には1.2以上が金融機関から融資条件の目安と考えられ、1.5以上はほしいところです。

    各指標の具体的な計算

    それでは一棟物件(部屋数:9戸、家賃6万円/部屋)の例で実際に計算してみます。

    キャッシュフロー = 家賃収入 -空室損(未回収損)-必要経費-ローン返済

    (1)GPI(潜在総収入:満室想定)

    家賃収入は満室だと仮定すると
      6万円 × 9部屋 × 12ヶ月 = 648万円/年 :GPI

    (2) EGI (実効総収入:空室損を考慮)

    実際の不動産経営では空室率を考慮する必要があるので(ずっと満室はありえないため)、ここでは空室率10%を織り込んでみます。

    すると、空室損は、648万円 × 10% =65万円
    よって、空室を考慮した場合は、

      648万円(満室家賃)- 65万円(空室損)= 583万円/年:EGI

    (3)NOI (純営業収益:空室損+必要経費を考慮)

    必要経費(管理費・固都税等)については物件検討時に詳細な計算をしていると時間がかかりすぎてしまうので、キャッシュフローの目安を把握する段階では管理費をおおよそ家賃収入の15%~25%で計算し、木造のワンルームなら安めに、RCのファミリー用なら高めにするなどあとから調整をするが良いでしょう。

    すると、必要経費は、648万円 × 20% =130万円
    となりました。

    583万円(EGI)- 130万円(必要経費)= 453万円/年:NOI

    (4)キャッシュフロー(空室損+必要経費+ローン返済を考慮)

    最後に先ほど求めたNOI(純営業収益)にローン返済を引いてキャッシュフロー を求めます。
    物件価格:5,000万円、購入時の諸経費:1,000万円、自己資金:1,000万円、融資金額:5,000万円、金利:3%、融資期間:30年とした場合、

    ローン返済(年額)は253万円となり、

    453万円/年:NOI - 253万円(ローン返済)= 200万円/年: キャッシュフロー

    (5)表面利回り・実質利回り・ROI・イールドギャップ・DCR

    表面利回り=GPI(潜在総収入:満室想定)÷ 物件価格
    =648 ÷ 5,000 = 13.0%
    実質利回り=NOI (純営業収益:空室損+必要経費を考慮)÷ 購入価格
    =453 ÷ 6,000 = 7.6%
    ROI = 年間収益 (キャッシュフロー)÷ 自己投資額
    =200 ÷ 1,000 = 20%
    ローン定数K = 返済額 ÷ 借入額
    =253 ÷ 5,000 = 5.1%
    実質利回り(FCR)=NOI(営業純利益) ÷ 購入総額(物件価格 + 諸経費)
    =453 ÷ 6,000 = 7.6%
    イールドギャップ(%)=FCR(%) - ローン定数K(%)
    =7.6 – 5.1 = 2.5% > 1.5(目安)
    DCR = NOI (純営業収益)÷ ローン返済(年額)
    =453 ÷ 253 = 1.79 > 1.2(目安)

    キャッシュフローに大きく影響する要素

    不動産投資のキャッシュフロー(手元に残るお金)は、次の要素から大きく影響を受けます。
    家賃収入、ローン返済、必要経費

    一般的に、家賃収入に対するローン返済額が約50〜60%で、必要経費は約15〜25%と言われているので、キャッシュフロー(手元に残るお金)の目安は約20%の割合となります。

    キャッシュフロー(手元に残るお金)をできる限り確保しようとするには、大きく影響する要素について、入念に戦略を立てる必要があります。

    (1)家賃収入について
    まずは家賃収入がキャッシュの全体パイを決めてしまうので、収益性の高い物件を選ぶことと同じぐらいに、運用後に家賃収入を減らさないということも同じく大事になってきます。

    空室になった場合の空室リスクは家賃収入の下落に大きく影響するので、あらかじめある程度の空室率を見込んで見立てを立てておくことは大事です。

    (2)ローン返済について
    金融へ支払うローン(元金返済+金利)が返済にあたりますが、上の図からもわかるように家賃収入に対して50~60%の割合を占めることが多く、キャッシュフロー計算結果が変動する大きな要因となります。

    毎月の返済するローンの金額をいかに減らせるかがキャッシュフローを多く残せるかどうかに大きな影響を及ぼすので、ローン返済は“金利を低く”、“返済期間を長く”がポイントとなってきます。

    金利を低くできればできるほど、全体の返済額も小さくなるのは容易に想像できると思います。

    例えば、一般的に低い金利での融資を受けやすいのは、運用の安定性や流動性からアパートよりマンションと言われています。

    ただし、アパートは融資の金利も高くなってしまう(マンションに比べると金利が1%~2%ほど高くなる)ことが多いというデメリットがありますが、一方で利回りが高いといったメリットがありますで、表面利回りだけでなく融資金利まで含めたイールドギャップ(投資利回りと長期金利との差)を見てから購入を検討することをおすすめします。

    もうひとつ見落としがちな重要な要素が「ローン返済の期間」です。

    より長い融資期間のローンで物件が購入できれば金融機関への返済は“薄く長く”なります。そうすると、毎月入ってくるキャッシュフローの額はそれに応じて多くなります。

    なお、長期間借金を抱えたくない人にとっては、キャッシュフローより返済期間の短さを優先させた戦略をとる場合もありますが、投資の初期段階においては一定額のキャッシュフローを得ることがなにより重要であります。なぜなら、収入が多くなれば次の物件購入も取り組みやすくなり、良い循環に入れるからです。


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