こんにちは、言語学者の澤(@SawaAzumi)です。
今年度から日本で英語のフォニックス(音声学)の講師をさせて頂いているのですが、受講生と話す度に考えさせられるテーマがあります。
それは、「第二言語である英語」の習得をどのレベルまで目指すべきなのか、学習する際はどこをゴールとして見据えるべきなのかという事です。
これは海外在住の多くの日本人が悩んでいるテーマでもあるでしょう。
英検やTOEICなどの点数を目標にするべきか、単語や熟語の数か、それとも通じれば良いと判断するか、完全な自己満足で良いのか。 なかなか判断が難しい所です。
趣味であるならば自己満足で問題ないと思いますが、しかし仕事が絡む場合はどうでしょう?
相手や同僚とコミュニケーションが必要な世界で言語レベルというのを自己満足で完結させるのも自己中心的な考え方にも思えます。
あ、そういえばフォニックスの講師は引き続き募集していますので、興味がある人は連絡してくださいね。
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ネイティブを目指してはいけない
アメリカには英語を流暢に話すにも関わらず、自分の英語に自信がなく自分は英語が上手く話せないと思っている日本人が多くいます。
自信がない理由を聞くと「ネイティブとは程遠い」という意見が殆どです。
なぜか我々日本人には英語はネイティブのように完璧に話せないと「英語を話せる」と言ってはいけないという強迫観念を持っているようです。
なぜでしょう?
マルバツ方式の学校教育が原因だとか、他人の目を気にしすぎる民族だとか、色々な意見があるようですが、ココではそうなってしまった原因は置いていきましょう。
それよりもそもそもネイティブを目指すというのは第二言語を習得する上で根本的に考え方が間違っていると思うんですよね。
ネイティブを目指すという事は自分のアイデンティティを否定する事
ネイティブの英語力というのは幼少の頃に英語圏で育ったから身につくのであって、言い換えたら言語をネイティブレベルで習得するというのは幼少期の経験と交換するようなものです。
それを大人になった我々日本人が手に入れる必要はありませんし手に入りません。
言葉というは自分の育った環境、考え方など色々な要因が加わり個々の話し方や表現力へと繋がります。
仮に貴方が30才まで日本で育った人だとしましょう。 その貴方がこれからネイティブと同じレベルの英語力を手に入れる事を目指すという事は、今まで30年間日本で培ってきた考え方、表現方法を全て捨てるという事と同じです。
30年間日本で育った経験を持ち、その経験を踏まえて英語を話すというのが貴方のアイデンティティであり魅力的な個性なんです。
その個性を潰すような目標を立てるのは間違っているんじゃないかな。
では何処を目指すべきなのか?
ネイティブを目指す必要はないと結論付けても、ではどのレベルを目指す?となるとまた難しい問題。
個人的には話す相手がストレスを感じないレベルを目指すべきだと思います。
日本で中国人とか韓国人ですごく流暢に日本語を話す人っていますよね。 でも話したら一瞬で日本語が母国語ではないと判断できるレベルの人達。 しかしコチラが話す事は殆ど理解するし相手が話す事も殆ど理解できレベル。
こんなレベルを第二言語習得のゴールに見据えるといいのかもしれません。 私が目指している英語のレベルもここです。
私には私のアイデンティがあるので英語ネイティブになろうなんて全く思っていない。
しかし、どのレベルを目指すにしても言語学習で一番重要なのは発音だと思います。 発音が悪ければ折角覚えた単語も通じないし、知ってる単語も聴き取れないから。
言語習得に王道はないけど、近道があるとすれば音声学から入る事じゃないかな。